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犬 会陰ヘルニア
シー・ズー 13歳齢 未去勢オス 8.2kg
排便・排尿障害を主訴に来院
身体検査所見にて肛門(会陰部)の膨隆が認められた
エコー検査とレントゲン検査を行い、会陰ヘルニア(膀胱・前立腺・小腸のヘルニア)と診断した
膀胱と前立腺がヘルニア嚢内に反転し、尿道閉塞を起こし、急性腎障害の合併していた
膀胱圧が上昇し、尿道カテーテルの挿入が困難であった
緊急処置として膀胱穿刺にて尿を抜去し、膀胱圧を下げ、尿道カテーテルを設置し、急性腎障害の治療を実施した
さらに重度な会陰ヘルニアのため、皮膚が黒色壊死を起こしていた
皮膚障害と腎障害を2週間治療し、会陰ヘルニア整復術を実施した
左側ヘルニア嚢内には前立腺・膀胱・腹腔内脂肪が脱出し、重度の癒着が認められた
右側ヘルニア嚢内には小腸が脱出していたが、目立った癒着は認められなかった
手術方法はメッシュインプラントによる整復術を選択した
前立腺腫大も認めたため、併せて去勢手術も実施した
術後経過は良好で、術後3日に退院とした
再発は認められず、排尿・排便機能も改善し、術後経過は良好である
会陰ヘルニアは犬のオスに多い病気です
飼い主様も簡単に気づくことが可能です
日頃から良くスキンシップを行い、お尻まわりの腫れがないかチェックしてあげてください
会陰ヘルニアの治療方法は外科手術です
内科治療で治ることはなく、様子を見ることは非常に危険です
重症になる前の早期に整復手術を行う方が、犬への負担も少なく、治療成績も良いです
画像1.初診時、膀胱穿刺後に尿道カテーテル(矢印)を設置した後のレントゲン画像:緑丸の位置にヘルニアした前立腺・膀胱・小腸を認める
画像2.手術直後のレントゲン画像:ヘルニアした前立腺・膀胱・小腸が腹腔内の正常な位置に整復されている
画像3.手術直前の会陰部の外貌
画像4.手術直後の会陰部の外貌